エギングの釣果を大きく左右する「カラー選択」。中でもフィールドの「潮の色」は、イカの視認性に直結する最も重要な判断基準です。潮の透明度によって水中の光の届き方は劇的に変わるため、状況に合わないカラーを使い続けると、イカに存在を気づかれなかったり、逆に見切られたりする原因になります。
本記事では、澄み潮・濁り潮それぞれに最適なカラー選定のセオリーを詳しく解説します。基本のロジックをマスターすれば、迷いなくエギをローテーションでき、渋い状況下でも確実な一杯に近づけます。
1. なぜ潮色に合わせてエギのカラーを変える必要があるのか?

潮色に合わせてエギのカラーを切り替える最大の理由は、イカにエギを「適切に認識させる」ためです。アオリイカは非常に発達した視覚を持っており、色の濃淡やコントラストを敏感に察知する能力に長けています。しかし、水中の視界は潮の透明度によって劇的に変化します。光の透過率が異なる環境下では、同じエギでもイカからの見え方は全くの別物になるのです。
例えば、透明度が高い「澄み潮」で、過度に派手なカラーを動かし続けると、イカに違和感を与えて警戒させてしまいます。逆に、視界が極端に悪い「濁り潮」で地味なカラーを選択しても、広大な海の中でエギの存在に気づいてもらうことすら困難です。エギを見つけられなければ、当然ながら抱いてくることはありません。
そこで重要になるのが、「周囲に馴染ませる(ナチュラル)」か「はっきりと存在を示す(アピール)」かという戦略の使い分けです。澄み潮では水の色に溶け込ませて捕食対象のベイトフィッシュに擬態させ、濁り潮では水の色と反対の性質を持つ色を用いてシルエットを際立たせます。
このように、潮色という「背景」に対してエギをどう演出するかをコントロールすることで、スレたイカにも迷わず抱かせることが可能になります。潮色に合わせたカラー選択は、単なる好みの問題ではなく、イカの視覚に直接訴えかけるための不可欠なロジックなのです。
| 潮の状態 | 狙い・コンセプト | おすすめ布カラー | おすすめ下地(テープ) |
| 澄み潮 | ナチュラル・同調 | ブルー、グリーン、クリア | 銀、ケイムラ、クリア |
| 濁り潮 | アピール・膨張 | オレンジ、ピンク、チャート | 金、赤、夜光(グロー) |
| マズメ | シルエット重視 | 状況に合わせる | 赤、紫 |
2. 【澄み潮】でおすすめのエギカラーと選び方のコツ

澄み潮の状況下では、エギを「いかに自然に見せるか」が釣果を分ける最大のポイントです。潮が澄んでいるときは水中での視界が非常に広く、アオリイカからエギの細部までがはっきりと見えています。このような状況で派手すぎる色を使用すると、イカはエギを「獲物」ではなく「不自然な物体」として認識し、抱くのをためらってしまいます。
基本は「ナチュラル系」で違和感を消す
澄み潮におけるカラー選択の基本は、ブルー、グリーン、オリーブといったナチュラル系のカラーです。これらの色は、実際のベイトフィッシュ(イワシやアジなど)の背中の色に近く、水の色とも自然に調和します。視界が良いからこそ、あえて背景に溶け込ませることでイカの警戒心を解き、本能的な捕食スイッチを入れる戦略が有効となります。
特に日中のピーカン(晴天)時などは、イカの視覚がフルに働いています。そこで、フラッシング(反射)が強すぎない地味なカラーを選ぶことで、スレた個体にも違和感なくエギを追わせることができます。ナチュラル系は、追ってきたイカに「見切らせない」ための最強の選択肢といえるでしょう。
下地(テープ)は「銀・ケイムラ・クリア」が鉄板
布のカラーだけでなく、内側の「下地(テープ)」選びも重要です。澄み潮では、光を透過させたり、自然に反射させたりするタイプが威力を発揮します。
- 銀テープ: ベイトフィッシュの鱗のような輝きを忠実に再現します。日光が届きやすい澄み潮では、最もリアルなフラッシングを生み出します。
- ケイムラ(紫外線発光): 太陽からの紫外線を反射して淡く青白く光ります。人間には透明に見えますが、イカには魅力的に映るとされており、澄んだ水中でナチュラルかつ強力にアピールします。
- クリアボディ: 下地にテープを貼っていない透明なボディです。光をそのまま透過させるため、シルエットが最もぼやけます。究極に警戒心が高いイカには、この「存在感を消す」手法が極めて効果的です。
澄み潮でのカラーローテーション例
まずは、最も汎用性の高い「ブルー×銀テープ」からスタートすることをおすすめします。これで反応がなければ、さらにナチュラルな「グリーン×ケイムラ」へ移行し、最終的には「クリアボディ」でシルエットを極限まで小さく見せるという流れが、澄み潮攻略の王道ルートです。
3. 【濁り潮】でおすすめのエギカラーと選び方のコツ

濁り潮では、澄み潮とは正反対の「いかにエギを見つけさせるか」という視点が不可欠です。雨後の泥濁りや、プランクトンの大量発生による潮の濁りは、水中での光の透過を妨げ、イカの視界を著しく狭めます。このような状況下では、地味な色は背景の濁りに埋もれてしまい、イカがエギの存在に気づかないまま通り過ぎてしまうリスクが高まります。
基本は「アピール系」で見つけてもらう
濁りの中で最も信頼できるのは、オレンジ、ピンク、イエローといった膨張色や蛍光色です。これらのカラーは、視界が悪い水中でも光を強く反射し、遠くにいるイカに対して「ここに獲物がいる」という強い信号を送ることができます。
特に濁りが強い場合は、単に色が明るいだけでなく、視覚的なインパクトが強いものを選んでください。イカの目の前にエギが届くまでの時間を稼ぐためにも、まずは発見させることが先決です。アピールカラーは、広範囲からイカを呼び寄せる「サーチライト」のような役割を果たしてくれます。
下地(テープ)は「金・赤・夜光」でコントラストを出す
濁りの中では、周囲の景色との「コントラスト」をはっきりさせることが重要です。光が届きにくい深場や濁り潮では、以下の下地が活躍します。
- 金テープ: 濁った水の中でも光を力強く反射します。アピールカラーの布と組み合わせることで、最も存在感を強調できる組み合わせになります。
- 赤テープ: 意外に思われるかもしれませんが、赤は水中では黒っぽく見え、シルエットが非常にはっきり出ます。濁りの中で「形」を認識させるのに適したカラーです。
- 夜光(グロー): 自ら蓄光して発光することで、光の届かない濁りの層でも確実にアピールします。特に深場やマズメ時の濁りには欠かせない選択肢です。
濁り潮でのカラーローテーション例
最初は「オレンジ×金テープ」のような、最も目立つ組み合わせから入ります。これで反応がない、あるいは触っても乗らない場合は「ピンク×赤テープ」に変えて、シルエットを強調する方向にシフトします。さらに状況が悪い、あるいは水深がある場合は「夜光ボディ」を投入し、光による直接的な誘いを試みてみましょう。
【実釣!】紫外線発光の「濁り潮のスペシャリスト」!?
ここでお伝えしたセオリーからは少し外れますが、紫外線発光を武器にしながら、濁り潮で圧倒的な強さを発揮するスペシャリストが存在します。
それが、ヤマシタの「エギ王K ネオンブライトシリーズ マッディキング」です。このエギには、次世代の紫外線発光技術である「ネオンブライト」が搭載されており、特に濁り潮に強い緑色の発光波長(ネオブラグリーン)などが絶妙な存在感を放ちます。
筆者も以前、日中の泥濁りで何を投げても全く反応がないという、にっちもさっちもいかない状況に遭遇しました。そこで、ジョーカーとしてマッディキングを投入したところ、なんと一投目の最初のフォールで、1.7kgのデカイカを仕留めることができたのです。

セオリー通りのカラーで反応がない時こそ、こうした「特化型エギ」の出番です。濁り潮時の最終兵器として、ネオブラのマッディキングをエギケースに忍ばせておいてはいかがでしょうか。その一投が、絶望的な状況を打破する最高の一杯に化けるかもしれません。
4. 潮色だけじゃない!天候や時間帯との組み合わせ

エギのカラー選択をより盤石にするためには、潮色に加えて「天候(光量)」と「時間帯」を掛け合わせて考える必要があります。潮の色は背景を決定しますが、天候や時間帯はエギを照らす「照明」の役割を果たすからです。
晴天×澄み潮、曇天×濁り潮の考え方
光量が多い晴天時と、光が遮られる曇天時では、同じ潮色でも最適なカラーは異なります。
- 晴天×澄み潮: 水中が最も明るい状態です。ここでは透過系のクリアボディや銀テープが最も自然に見えます。強い反射を逆手に取ったホログラム系も有効ですが、基本はナチュラルに徹するのが無難です。
- 曇天×濁り潮: 水中が極めて暗い、最悪の視界条件です。この場合は、迷わずオレンジやピンクの夜光ボディを選んでください。少しでも光を増幅させ、シルエットを大きく見せることが最優先です。
このように、上からの光(天候)と横の視覚環境(潮色)の相関関係を意識すると、カラー選びの精度が一段と高まります。
朝夕のマズメ時に外せないカラー
朝夕のマズメ時は、光の波長が変化し、赤色の光が強調される時間帯です。このタイミングでは「紫テープ」や「赤テープ」が圧倒的な強さを発揮します。これらは光が少ない中でもシルエットを維持しやすく、活性の上がったイカに対して強烈なアピールを行います。
マズメ時は潮色に関わらず、まずは赤テープベースのカラーを投げてみるのが鉄則です。そこから、潮が澄んでいればナチュラルな布、濁っていれば派手な布へと微調整を加えることで、短い時合を効率よく攻略できます。
| 潮色 | 天候・光量 | 推奨されるエギのタイプ | 理由 |
| 澄み潮 | 晴天(光量・多) | クリア系・銀テープ | 水に溶け込ませ、反射を抑えるため |
| 澄み潮 | マズメ(光量・中) | ナチュラル布 × 赤テープ | 適度な馴染みとシルエットを両立 |
| 濁り潮 | 曇天(光量・少) | 夜光・金テープ | 視界不良の中でも存在を気づかせるため |
| 濁り潮 | 日中(光量・多) | ネオンブライト(緑系) | 紫外線発光で濁りの中でも透過させる |
H4:赤テープ×ナチュラル布の最強筆頭!「軍艦グリーン」

マズメ時の赤テープといえば「エギ王K 軍艦グリーン」は外せません。
シルエットを強調する赤テープと、水馴染みの良いグリーンの組み合わせは、驚くほどイカを惹きつけます。筆者もこれで数えきれないほどのイカを手にしていますが、その安定感はまさに最強。マヅメに限らず、夜間や日中の深場等、活躍するシチュエーションもとにかく多いので、もはやエギケース内に必携な一本です。
5. 【重要】セオリーはあくまで「目安」。現場での試行錯誤が釣果の鍵
ここまで潮色別のカラー選びを解説してきましたが、最後に最も重要なことをお伝えします。それは「セオリーは絶対ではない」ということです。海の中には、人間の理屈では説明できない状況が無数に存在します。セオリーはあくまで効率よく正解に近づくための「地図」であり、最終的な答えは現場のイカが持っています。
【関連記事】筆者の大きな独り言「意図して手にした一本の気持ちよさを共有したい!」

意図して「セオリーを外す」ことで手にしたデカイカについて、以下のコラムで紹介していますので、是非ご一読ください!
上の写真は、このコラムで紹介している釣果の一例です。気軽に読める短めの記事ですので、重ねてになりますが是非!きっとあなたのエギングに役立つケーススタディにもなるはずです!
あえて「逆」のカラーが爆釣するケース
時には、澄み潮でド派手なオレンジを投げたり、濁り潮で地味なブルーを投げたりすることで、爆発的な釣果が得られることがあります。これを「リアクション(反射食い)」と呼びます。
例えば、澄み潮でイカの活性が非常に高く、競争相手が多い場合、目立つカラーをあえて使うことで、他の個体よりも先にエギを認識させ、奪い合いを誘発させることができます。逆に濁り潮でも、何らかの理由でイカが特定のベイトに執着している時は、セオリーを無視したナチュラルカラーが正解になることもあります。
一番の正解は「現場のイカ」が知っている
セオリーに固執しすぎると、目の前のチャンスを逃すことになりかねません。「澄み潮だから青しか投げない」と決めてしまうのではなく、30分反応がなければ、思い切って正反対のカラーを試してみてください。
釣れない時に「何かが違う」と感じる直感は大切です。自分の知識を裏切るようなカラーチェンジが、その日のパターンを見つけるきっかけになることは珍しくありません。固定観念を捨て、柔軟にエギを替える勇気を持つことが、ベテランへの第一歩です。
カラーよりも「層(レンジ)」や「アクション」が大事なことも
カラーはあくまで釣果を構成する要素の一つであることを忘れないでください。どれだけ最適なカラーを選んでも、イカがいる層(レンジ)にエギが届いていなければ、決して釣れることはありません。
まずはしっかりとボトム(底)を取り、適切なレンジを探ること。その上で、シャクリの強さやフォールの角度を調整し、最後の仕上げとして「カラー」を合わせる。この優先順位を間違えないことが、安定した釣果を出すための秘訣です。
6. まとめ
エギングにおける潮色別のカラー選びは、イカの視覚特性を理解し、現場の状況にアジャストしていく非常に論理的な作業です。
- 澄み潮: ナチュラル系(青・緑・ケイムラ)で、背景に溶け込ませて警戒心を解く。
- 濁り潮: アピール系(橙・桃・金・夜光)で、視界が悪い中でも存在を強調する。
この基本セオリーを軸に、天候や時間帯を加味してエギを選べば、迷いは大幅に軽減されるはずです。しかし、釣りにおいて最も面白いのは、セオリーを超えた先にあります。基本をマスターした後は、ぜひ自分なりの「遊び心」を持って、様々なカラーを試してみてください。
「なぜこの色で釣れたのか?」を考え、仮説と検証を繰り返すプロセスこそが、エギングの醍醐味です。この記事を参考に、あなただけの最強のカラーローテーションを見つけ出し、素晴らしい一杯に出会えることを願っています。
【関連記事:エギングの網羅的攻略】
今回、この記事ではエギングにおける潮色にあわせるエギカラーについて深掘りしてきました。当サイトではエギングの網羅的な攻略方法を解説した「エギング攻略バイブル」や、その他関連記事を多数公開しております。合わせてお読みいただければ幸いです。



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